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第70話

弥生は腰をかがめてコンピュータのスクリーンに表示されているデータを確認した。

毎日の食事や睡眠のデータは詳しく記録されていて、リハビリテーション施設に患者が多いため、介護スタッフが一人の食事や生活習慣を詳しく覚えることができない。

したがって、より良い区別をするために、このリハビリテーション施設ではデータがすべて記録されている。

弥生は真剣に見ると、確かに介護スタッフの言うとおり、変化が非常に微妙で、無視できるほど微かだ。

通常は一定の範囲がある、その範囲を超えなければ、正常だと見なされる。

弥生は唇を噛んで、少し心が沈んでいた。

もしかしたら、自分は考えすぎたかもしれない。

祖母の気分が変わったのが感じられるが、それは良い変化ではないかと思った。

「宮崎さん、大奥様を心配される気持ちは理解できますが……もしかしたら、心配するあまり緊張したのではないでしょうか?」

それを聞いて、弥生は彼女と議論することなく、認めて言った。

「うん、多分私が心配しすぎたんだわ」

彼女はいつも適切な言葉使いを心がけていた。彼女がそう言ったため、介護スタッフもこれ以上説明しなかった。

すると弥生は微笑んで言った。

「でも、このデータをコピーしていただけますか?」

介護スタッフは一瞬呆然としたが、すぐに頷いた。

「もちろんです」

「ありがとうございます」

「奥さん、遠慮しなくていいです」

介護スタッフが変だと感じたが、データをコピーするのはわずかな手間だから、すぐにコピーした。

弥生は彼女の操作を見ながら、

「私が帰る前に取りに来ます。それまではここに置いてください」

「はい」

その後、弥生は小百合のところに行った。

彼女が戻った時、瑛介はもう部屋で小百合と話していた。

彼が小百合の前に座り、軽い笑みを浮かべて、目には暖かさが漂っていた。

瑛介はとても親孝行だ。弥生はそれをよく知っていた。

「弥生、戻ったわ」

「おばあさん」弥生は近寄ってきて、一緒に話しに混ざった。

瑛介の目にある笑みは少し薄くなったが、すぐに元に戻った。

その後、二人は外で起こったすべての不快感を忘れ、小百合の前で非常に仲睦まじく、結婚したばかりの若い夫婦のようだった。

日が暮れた。

「もう遅いから
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